Golden Route Strategy

継続率黙示録

年末も差し迫り、冬が本気を出してきた…
朝晩はすっかり寒くなって…冷えている、キンキンに冷えてやがる。

そういえば、俺が開けたビールも、キンキンに冷えてやがる…
圧倒的に冬…。
 
  
さてさて、本題に入りましょう。
今日は(も)ちょっとだけマニアックだけど、ついてこれる人しか相手にしないYO! 

事の発端は今年の春。
50億くらいの1stepの会社さんの継続率を何気なく見てた時、
運命の歯車は狂い出したんだ。
 

ざわ。。
ざわざわ。。。

どう? みんな! 
この継続率見て、ざわざわする? 
 
これ眺めて
「悪魔的!」って酒飲める?
 
まあ、酒は飲めなくてもいいけどさ。
1分やるからこの継続率見て、なんか思うこと言ってみろよ。

その時の俺の考えはこうだ。

「なんだ、この継続率は? 
妙な胸騒ぎがしやがる。
確かに1step&価格GAP中ってことを考えたら、初期継続は妥当だ。
むしろ悪くない。。。
だが、なんでだ? この初期継続なら、後半もうちょい伸びていいはずじゃないか?」

「ま、いっか」

軽視。圧倒的軽視。

今考えてみたら、それは明らかに違和感だった。
 
事実、当時のコンサルティングの場でも、このことには言及している。

ただ…
見えていない。
流れを止められていない。

慢心。過信。
そういった数々の己に纏わりつく欺瞞を
まるで拭い切れていない。

ってコトで、まあ、この時は、
ほかに優先順位高いコトがたくさんあったから、
スルーしてしまったんだよね。

で、時は経ち、
夏頃、いい感じにLTV上がってきて、新規も回復してきて、さあ、継続率に本腰入れっぞ! 
ってタイミングよ。

春の違和感も頭に当然入れながら、回数別解約理由を再度見返してたんだよね。 
 

ざわ。。
ざわざわ。。。
 
どう? みんな! 
この回数別解約理由見て、どんな感想抱くよ? 
これ眺めて酒飲めるか?(笑)

まあ、酒は飲めなくてもいいから、
1分やるからこの回数別解約理由見て、なんか思うこと言ってみろよ。
  
ま…まさ…か…
 
突然、俺は走り出し、例の資料を掘り返した。 

ざわ。。
ざわざわ。。。
 
はっ…やはり…
そうか…そうだ…
 
馬鹿か、俺は…
なんて馬鹿なんだ…
 
腑抜け…
盲目…
圧倒的事勿れ主義。
地獄へ落ちて当然…

俺は再び、回数別継続率表を穴が開くほど凝視した。
 
 
繋がった…

無数に散らばっていた数字の羅列が
突然意味を持ちだして俺に語り掛けてきやがる。

なぜ、奴が初手で比較的高い初期継続率を出したにもかかわらず、
敢えて低い中期継続率に留まっていたのかを…

間違いない。
潰せ! 潰さなくていいわけがない!!
ここで逃したら全て元の木阿弥だ! 
今だ! 今しかない!! 

「この…

オーソリエラーって…

なんですか?… 」
 
 
この瞬間、風向きが変わる音が聞こえた。
俺はもぎ取ったのだ。
筆舌に尽くしがたい痛みを乗り越えて…。
 
 
説明しよう!
ボクが最初に「回数別継続率」を見て感じた違和感をめっちゃ詳しく分解してやる!
 
Point 1
1→2、2→3回目継続がよい。
特に2→3の継続が大きく跳ねているので、お客様がポジティブに続けてくれていることが分かる。
 
 
 
Point 2
1→2~2→3の継続率の伸びに比べて、2→3~2→5の伸びがやや緩やか
ただの気のせいかもしれない。
 
 
Point 3
1→5の継続率の伸びが、なぜか6→10で止まる。
初期継続が悪くなければ、ほとんどの会社が6回目以降の継続は安定する。
イメージは86%→89%程度。
なのに、あまりにも停滞しすぎている点が違和感。
また、初期継続とのGAPが小さすぎる点がおかしい。
 
 
 
次に、「回数別解約理由」の説明をしてやる!
 
回を追うごとにグレーの割合が増加している。
 
これは、定期回数が進むにつれて、
継続希望者のうち、物理的に継続できなくなる人の比率が高くなるからだ。

前提として、後半が継続率が高くなることからもわかるように、
継続希望者は定期回数の後半に多く、前半は少ない。

図で説明しよう。

仮に継続希望者のうち、3%は物理的なエラーが原因で継続できなくなり、
97%はエラーが発生せず継続できるとしよう。
 
 
 
 
 
 
かくして、中期以降の継続率が上がっていなかったのだ。
 
なぜこういうコトが起こっていたのか??
 
実は、この会社では、
クレカのオーソリエラー者に対し、
新しいクレカの登録がお客さまからない場合、
 
解約
 
まごうこと無き解約
処理をしていたのだった。
 
沼…
圧倒的沼…
 
俺はすぐさま、握りしめていた最後のカードを
場に叩きつけた。
 
「強制後払い」でダイレクトアタック! 
 
強制後払いとは、クレカオーソリエラーで
商品が発送できないお客様に対して、
支払方法を後払いにスイッチして商品を発してあげる
クレカオーソリエラーを解決するためのカードの一つだ。

いけぇぇえ!!
 
幾ばくかの季節が廻り、
先日、冷え切った僕のカラダをあたためる懐炉のように、
施策実施後の継続率報告が届いた。
 
そこにはこう書いてあった。
 
年間残存率
+11%
 
回転率
+2.5回転
 
一人当たりの年間改善売上
+15,000円(※1回の受注単価約6,000円)
 
 
 
ーーー完ーーー
 
いかがでしたか? 
今日はたまたま、
中期継続率が上がらない要因として、オーソリエラーの場合の支払方法スイッチによる発送っていう、
極めてレア且つ、単純な成功事例だったんだけどさ。
 
さっきのクレカオーソリエラー者の年間残存率は、
一例で5回目定期を受け取る人を対象とした残存率になるんだけど、
年間の平均購入回数で見ると、
強制後払い実施を実施したことで
2.5回も購入回数が多くなったんだ。

このケースを通して、自分自身もちょっと反省したことがあるんだよね。

継続率というのは、たくさんの要素の集合KPIであるからこそ、
ボクらはつい、継続プログラムとかシナリオ毎の継続施策みたいなフレームワークで対処しちゃいがちじゃん。

でもさ、今回は割と見えにくい、バックオフィス運用にボトルネックがあったわけじゃん。

そん時、大事なのが、データのサインを見逃さないことだと思うんだよね。

ほら、ボクらは600社以上のKPIを保有していると呪文のように唱えてるけどさ。
KPIを保有していること自体には大した価値はないと思う、ぶっちゃけ。
 
ただ、今回のケースのように、違和感を感じる感度を上げることができるんだよね。
そこにこそ価値があるんよ。 
 
そして、何より大切なのは、
 
違和感の理由を多角的に捉え、
追加データを抽出したりしながら、
総合的にソリューションを提供して、
100%結果を出せるよう、
たくさんの総合格闘技を経験すること
 
だと思うぜ。

あ、そうそう。余談なんだけどさ、
この前、CRMソリューションを一番やってるっていう会社をチラッと見かけたんだけど、
今日の話みたいなコトできる会社であってほしいと思って草。

あと先月、個人のCRMコンサルさんと話してて、
「ゼロさんのコンサルフィーが図抜けて高い」って話になったんすよね。

ウチ300万/月なんだけど相場30~50万くらいで森。

圧倒的謝罪(涙)
 
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田村雅樹
Masaki Tamura

ダイレクトマーケティングゼロ代表取締役社長。
1972年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、「株式会社ベネッセコーポレーション」、大手化粧品会社を経て、2009年に通販専門のコンサルティング会社「ダイレクトマーケティングゼロ」を設立。
通販化粧品・健康食品企業を中心に計500社以上の顧問・コンサルティングを行う。「AMIDAS」や「通販7指標必勝方程式」などの独自理論を打ち立て、クライアントの売上を20倍上げた実績をもつ。
「DMA国際エコー賞」「ケープルズ賞」をはじめ「全日本DM大賞」などダイレクトマーケティングに関する賞を国内外で通算40冠受賞。
著書に『ゼロからはじめる通販アカデミー』(ダイヤモンド社)がある。講演・寄稿等多数。

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