Golden Route Strategy

ブレない「っぽさ」

この20年強、ダイレクトマーケティングの世界にどっぷり浸かっていると、
なんとなく潮流的なものを感じることがある。

考えてみると、EC/通販の取ってきた方向性というのは、
その殆どが、顧客セグメンテーションによる効率化や最適化に
集約されると言っても過言ではない。

CRMシステムによる顧客ロイヤルティの分類から始まり、
One to One Marketingの理念が叫ばれ、
MAによる顧客シナリオが進化し、
OMOの捉え方でのカスタマージャーニー。

このブログのタイトルにもなっているGolden Route Strategyの考え方も含め、
結局、ぜんぶセグメンテーションによる効率化・最適化ばかり。

まあ、確かにそれは簡単だし、突き詰められている会社は
殆どないのでやったほうがいいとは思う。

ただ、手段が目的化している感が否めないんすよね。
だいぶ前に、「継続こそすべて」という
一見綺麗ごとにも聞こえるブログを書いたばかりだけど、
KPIを分解すればするほど、部分最適が起こってしまう。

もっとシンプルなことを見失っちゃってるんじゃないかって思うの。
セグメンテーションによるCRMの最適化に未来はない。


そんな折、2020年のEC/通販業界についての展望に関する対談で
真っ先に浮かんできたコトバ。

それは「一貫性」っていう言葉でした。

最初は、

ブランドメッセージの一貫性
商品コンセプトの一貫性
デザインの一貫性

みたいに、
視覚的、直感的な購買行動が増えてきた背景から、
よりデザインコンシャスな商品設計・訴求設計が求められたきたなぁ
くらいに考えていたのですが、

よくよく考えると、顧客の嗜好性が
当然CRM観点でも、

ターゲットの一貫性
戦略の一貫性
コミュニケーションの一貫性
顧客体験の一貫性

みたいな
「時間軸も踏まえて統一された」ブランディングが
求められる時代になってきたって思ったんです。

考えてみると、EC/通販は長らくブランディング後進業界だった。

それはデータベース上に大量の購買データやトラフィックデータを活用し、
個別に可変であるコトの優位性が発揮されやすいという
メジャラブルな環境要因もあるし、
「ツーハン」っていう言葉の呪縛が持つ、なんとなくダサい感(笑)とか、
「マイナー」とか「リーズナブル」とか「カジュアル」とかっていう、
商品や購買行動が持っていた歴史要因もあるし、
商品の疑似体験がしにくいが故の、販売の冗長性やフォーマット化した
購買意志喚起の伝統的販売手法の要因もあるし、
所詮カートやコールと段ボール配送だし、
タイムラグあるし、

みたいなイメージや顧客体験時間の非一貫性要因もあるだろう。
短期的レスポンス至上主義の御仁のポジショントーク要因まで。(笑)


そんな中、EC化以前には、ほぼ唯一のブランディング?要素として機能していたのが、
コールセンターだったのではないだろうか? 

だが、EC化するコマースにおいて、
もちろん電話するヤツなんていなくなるわけで、
顧客に継続的にブランドを伝えていくためには、
より全体的な統一性、一貫性が必要となってくるだろうと。

顧客は雰囲気や姿勢を重要視しだしてくれている。
めっちゃ嬉しい!!
商品だけではなく、サービスやコミュニケーションまでを、
如何に「ブレず」に、「っぽく」
EC/通販におけるブランドをコンセプトメイクし、
継続していける企業がこれからますます躍進していくんだろうなと思うと、
ちょっと嬉しく思うんです。


やっと、焼き畑みたいなマーケティングから、
積みあがっていくブランドのポリシーや文化、
それによって引き起こされるお客様のハッピーが重要視され、
本質的な一貫性が企業価値を決めていくようになるわけですから。
 
 
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田村雅樹
Masaki Tamura

ダイレクトマーケティングゼロ代表取締役社長。
1972年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、「株式会社ベネッセコーポレーション」、大手化粧品会社を経て、2009年に通販専門のコンサルティング会社「ダイレクトマーケティングゼロ」を設立。
通販化粧品・健康食品企業を中心に計500社以上の顧問・コンサルティングを行う。「AMIDAS」や「通販7指標必勝方程式」などの独自理論を打ち立て、クライアントの売上を20倍上げた実績をもつ。
「DMA国際エコー賞」「ケープルズ賞」をはじめ「全日本DM大賞」などダイレクトマーケティングに関する賞を国内外で通算40冠受賞。
著書に『ゼロからはじめる通販アカデミー』(ダイヤモンド社)がある。講演・寄稿等多数。

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