ダイレクトマーケティングゼロ上原涼子です。
DM0へのご相談として上位に来ることの多い「休眠復活」。
ECへの参入企業が増え新規獲得が年々厳しくなってきている現在、短期的に売上を立てる手法として、需要が高まっているのを感じます。
今日は、これまで休眠復活をお手伝いしてきた中でよくいただく【3つの質問】にQ&A形式でお答えしていきたいと思います。
目次
■休眠顧客とは?
■休眠復活Q&A
┗Q1.セグメントはどう設計するのが正解?
┗Q2.接触手段は何がベスト?
┗Q3.レスポンスを高める企画設計のコツは?
■最後に
■休眠顧客とは?
Q&Aに入る前に1点だけ、そもそも休眠顧客とは誰のことを指すのでしょうか。
休眠は大きく2パターンに分類されます。
A:アクティブ顧客に対する休眠顧客
B:定期顧客に対する休眠顧客(解約者)
例えば、何度かデートしてそれっきりの女子にアプローチしたい時と元カノとヨリを戻したい時、同じ戦略はとりませんよね?
AとBでは、取るべきコミュニケーションやベースのレスポンスが異なるので両方のステータスが存在する企業の場合は、切り分けて見ていく必要があります。
■休眠復活Q&A
【Q1】セグメントはどう設計するのが正解?
よく頂くのが「どうセグメントを切ったらいい?」という投資判断基準に関するご質問です。考え方としては2つあります。
1つ目は、限界利益から考える方法、
2つ目は、新規獲得単価をボーダーとする方法です。
①は利益が出るかどうか?を基準に考えるので利益率は低くなりますが、売上インパクトが出せます。
②は新規獲得に投資するのとどちらが効率的か?という考え方になるので、①よりも利益率は高くなりますが売上インパクトは①と比較すると限定的になります。
また売上の考え方も2つあります。
1.単回売上で考える方法
2.復活者LTVで考える方法
まずは2の方法でROIを評価する方をおススメしています。
1の場合は対象が極端に減ってしまい、機会損失につながる可能性があります。
特に、オフライン施策を行う場合は部単価への影響もありますよね。
まずは、LTVベースでどこがBEPなのか確認するようにしてから実際のカットラインを選定していきましょう。
例えば下記条件、@100円のDMを送るケースで実際に計算してみましょう。
CPO:8,000円
復活者LTV:20,000円
変動費率※:30%
※商品原価+受注費+決済手数料+配送費
①の場合は0.71%がカットラインとなり
100円÷(20,000円*(1-30%))=0.71%
②の場合は1.25%がカットラインとなります。
100円÷8,000円=1.25%
この範囲内で、セグメントを決めていきます。
下記RF表の範囲で試算すると、
①の場合LTVベースで売上約1.1億円、②の場合約6,590万円となります。
①限界利益ベース
②新規獲得単価ベース
【Q2】接触手段は何がベスト?
合わせて多く頂くのが、接触手段に関するご相談です。
誰までメール+DM+コールがOKで
誰までがメール+DMで
誰からメールのみとすべきなのか?
下記はある会社での休眠復活での接触チャネル数とレスポンスの関係です。
当然チャネル数が増えるほどレスポンスは高くなりますが例えばコール等はコストが高いため、過剰投資とならないよう、適切なラインを設計する必要があります。
設計にあたってまずすべきことは「ベースのポテンシャル」の確認です。
ある時点のRF人数分布(スナップショット)を取っておき、そこから30日間で各セルのお客様が購入した%を計測します。
できればこれを数カ月分蓄積します。
平常時の各セルの月次ポテンシャルが分かります。
次に、過去にキャンペーンを行った月があればその月のRF%からさきほどの数値を差し引いて、施策により上乗せできるレスポンスを想定しましょう。この範囲内で採算が取れる手段を選定していきます。
データがないセルは、近いセルから減衰率を当てはめて類推しましょう。
〇TIPS
コスト投下の考え方として、1回あたりのコストボリュームを増減する以外に、回数を分散させる手法もあります。
・定期解約日をキーとする方法(定期解約からx日後に行う)
・定期的に行う方法(年にx回行う)
ルーチン施策とする場合の注意点としてはオファーが同じだと疲弊が早いことです。
基本的に休眠復活オファーは強いものにする必要がありますが、くれぐれも先行者不利益のないようにしてくださいね。
【Q3】レスポンスを高めるクリエイティブのコツは?
さて、セグメントと投下コストが決まったところであとは、お客様に「何と話しかけるか?」です。
ポイントは2つです。
(1)お客様の状況に寄り添った訴求を
(2)なぜ今話しかけるのか?を明確に
(1)お客様の状況に寄り添った訴求を
お客様の状況によって、訴求は変わってきます。
例えば、解約者の方をターゲットとする場合には解約理由に対するカウンターを訴求とするのが基本です。
・そもそも何を期待して製品/サービスを購入してくださったのか?
・当初の期待には応えられていたのか?
・離反理由は何なのか?
・いつジャッジが行われたのか?
このあたりを踏まえて訴求を作って行きましょう。
これらの項目は解約受付時に必ず確認したいところですが、もし、分からなければ簡単なオンラインアンケートだけでもやってみましょう。ちょっとしたインセンティブをつければ結構返ってきますよ!
(2)なぜ今話しかけるのか?を明確に
企業によっては、突然お客様に連絡が行くことになるケースもあります。
「なぜ、今連絡がきたのか?」お客様にきちんと伝わるように理由付けをしてあげることが必要です。
■最後に…
ちなみに、DM0では休眠復活でご相談を受けてもすぐにDMを作り始めたりしません。
(もちろん、緊急性の高い場合は早急に着手します)
まず最初にやることは、メーカーさんの健康診断です。
これまで拝見してきた550社のKPIと比較して、「もっと手軽にインパクトが出せること」が見つかれば、最初にお伝えするようにしています。
もしかすると「今は休眠復活よりコッチです」と言うこともあるかもしれません(笑)
私たちは単なるパートナーとしてではなく、社員の1人のつもりでやっているからです。
本来は休眠になる前、「半休眠」の段階でアクティブ化して頂きたいし
それよりも、アクティブ状態をキープすることの方が大切ですし、
もっと言えば、ロイヤリティを高め続けたい。
じゃあ、
「半休眠の時点で育成ルートに戻してあげる方法はないのか?」
「そもそも育成ルートから外れないようにするにはどうしたらいいのか?」
「え、育成ルートがない?ならば作りましょう!」
といったことをたぶん勝手に考え始めています(笑)
本気でお客様との関係性を築いていきたい方は、お気軽にお声がけくださいね!