LTVを上げるために最重要なものは何か?

Posted by 石原雄太 on 2018年9月06日
石原雄太

こんにちは。DM0コンサルタントの石原 雄太です。

最近、通販企業様から「最近CPAが上がってきて新規苦しいんで、LTV上げていきたいんですよ!」といったご相談をよくいただきます。

新規が効率よくとれていた頃は、いろんな媒体をテストして、獲得数を伸ばし、またその中でガンガンクリエイティブテストを行い、効率を良化、それだけで事業は右肩上がりに成長!!

このままいけるかと思いきや、しかし…
競合企業の多数参入や2017年のグーグルのアルゴリズム変更などの影響を受け、新規効率が大下降。

このままでは先行きが…そんなときはじめて、獲得顧客のLTVに目が行きます。
しかしいざ、LTVアップにトライしようと思ったときにこう思います。

「LTVってどうやったら上がるのかわからない

確かに、LTVっていろんな要素がいっぱい詰まってます。

・定期継続率
・F2転換率
・定期率
・クロス率
・最初に何を買っているか?
・2回目に何を買っているのか?
・どのチャネルから入ってきたのか?
・・・などなど。 

これだけ要素が多いと
、どこから手をつければいいのかわかんないって気持ちよくわかります。
(ボクも昔メーカーにいた頃全く同じ悩みを持っていましたw

なので結論から言います!

LTVアップを達成するために最重要なのは
どこに注力していくのか?を帰納的に決定することです!!

ここ大切ですので、もう一度!

どこに注力していくか?を帰納的に決定することです!!

そのためにはどういう風にお客さまに育ってほしいかを明確にすることが大切です。

そして、その育成ルートを明確にするのに優れた分析の考え方こそ、ゴールデンルート戦略®なのです!(ちなみにゴールデンルート戦略®は弊社で商標をとってますw

本稿では、このゴールデンルート戦略®の基本や実践時のポイントをご紹介します。

目次
・RF分析の2つの弱点
・ゴールデンルート戦略®とは?
・いざ実践!!

■RF分析の2つの弱点

ゴールデンルート戦略®についてお話する前に、代表的な顧客セグメントの分析手法であるRFM分析に触れておきます。

RFM分析は、Recency(最終購入時期)、Frequency (累計購入回数)、Monetary (累計購入金額)の3つの指標から顧客をスコアリングし、優良顧客、半休眠顧客、休眠顧客、新規顧客のように分類する手法。リピート通販の場合、MはFと相関しやすく、Mを除いたRFで分析するケースが多いので、本稿では「RF分析」と表記します。

RF表見本
月次でどの層がどの程度動いているのかなど、顧客の全体的な動きを捉えるには適した手法ですが、欠点が2つあります。

欠点①Rの影響が大きい
Rがスコアリングに与える影響が大きいのが第1の欠点。

たまたま直近での購入があっただけで、本来は購入の見込みが低い顧客がDMの発送対象になるというのは良くあるケース。逆に、何度も購入してくれている優良顧客が施策の対象外になったりと、データ抽出のタイミングによってスコアリングの評価が大きく変化してしまうのです。

RF分析で分かるのはあくまで「データ抽出時点の状態」でしかない点に注意しましょう。

欠点②RF分析では顧客がこれまでたどってきた購買ルートが見えない
RF分析は、「いつ・何回目の購入があったか」という“行動結果”だけで顧客を分類する為、結果に至るまでに辿ったルート、たとえば初回の購入商品やクロス商品点数といった情報は加味されません。これは欠点①よりも、重大で致命的な点と言えます。

なぜなら顧客とのコミュニケーション内容は、初回購入商品やクロス商品別によって変えていくべきだからです。しかし、RF表からは購入履歴などの情報を読み取る事は出来ません。

つまり、RF分析単体では「顧客との関係性を深めていく事でLTVを上げ、売上を増やす」というCRM本来の目的を果たせないという事になります。

そこで登場するのが、ゴールデンルート戦略®です!


■ゴールデンルート戦略®とは

ゴールデンルート戦略®を文章で説明すると次のようになります。

「顧客の購入ルートを購入時期・商品・金額など様々な因子で分解した際にLTVの高い群が、初回購入時から通ってきた最も特徴的なルートを特定し、そのルートに顧客を誘導していく戦略」

ちょっと堅苦しくて、文字だとわかりづらいですよね?笑

図で表すとこんな感じです。
ゴールデンルート1

顧客を一定条件(F2購入の有無、クロスの有無など)で集合体とみなし、ディシジョンツリーを形成していきます。

この場合、黄色の矢印で進む経路がゴールデンルートとなります。

ただ実際はもっと複雑で、図で表すとこんな感じです。

ゴールデンルート2

図が複雑になっても、LTVが高い群が通る道筋を探すだけなので、やることはいたってシンプル。この場合も同様に黄色の矢印で進む経路がゴールデンルートとなります。

さて、ルートがみえてきたら今度は施策ポイントを決定していきます。

この施策ポイントを決定していくときに大切なポイントが3つあります。

  1. 新規の入口に近い
  2. 人数が多いセグメント
  3. LTV差が大きい
優先施策を決めていく以上、大切なのはインパクトの大きさ。


いかにLTVが高いポイントであっても、そもそもの人数が少なかったり、LTV差が小さかったりしたら、売上に大きなインパクトは出にくいもの。

なので、人数が多く、LTV差が大きいポイントを攻めることが施策ポイントを決定していくときにとっても重要になります。

さて、ここまでお話したことを踏まえて、ゴールデンルート戦略®実践の順番を簡単にまとめると

LTVの高い顧客群を探す

その群が通ってきたルートをみつける

ルートのどの地点からアプローチしていくかを3つのポイントを踏まえて決定する

になります。

このたった3ステップを実践するだけです!


ちょっとできそうな気してきましたか??笑


■いざ実践!!

最後にちょっと例題をやってみましょう!

化粧品のトライアルを
1,480円で販売しているとある会社さんのケース

条件)

・90日以内に本品へ移行する割合は50%
・本品買いの中で定期買いする人の割合は40%
・本品定期買いする人の360日LTVが最も高く40,000円

 この会社さんのモデルでディシジョンツリーを作るとこうなります。

LTVmap1

この場合、赤線のルートである「90日以内F2定期購入者」を増やす戦略が最重要となってきます

さて、ここからが分析です。

F2転換率とF2時定期率が改善したらどうなるでしょうか?

【F2転換率】

(現在)50
% →(理想)70
%


【F2時定期率】

(現在)40
% →(理想)80%
LTVmap2
このケースの場合、F2転換率とF2定期率を理想値まで上げられたら、新規顧客全体のLTVが13,000円程度改善されます。

「LTVが上がる=限界CPAも増える」という事。つまり、それまで出せなかったさまざまな媒体にもチャレンジが可能に。

既存の売上があがるだけでなく、新規にも大きなチャンスが広がり、結果事業の成長をドライブさせることが可能になります。ワクワクしてきますよね!

このように、LTVアップはまず
顧客構造を分解し、LTVが高い群が通ってきた道筋を発見するところから始まります!

この考え方わかるととっても楽だし、なにより楽しい!
あなたの会社でもまずはここからやってみましょう!


ダイレクトマーケティングゼロ 石原雄太

Topics: マーケティングコラム